オススメ宇宙記事

彗星、太陽からまさかの「脱出」 NASA、映像公開

米航空宇宙局(NASA)は太陽のすぐ近くを通過した後、無事「脱出」に成功した彗星(すいせい)の映像を公開した。彗星は主に氷でできており、太陽に接近しすぎると数百万度もある太陽の高層大気(コロナ)の影響で消滅するのが普通だが、特別に運がよかったらしい。


ラブジョイ彗星が太陽の最接近を経て「生還」したところ(中央)。米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星SDOが撮影した=NASA提供

「ラブジョイ彗星」と呼ばれるこの彗星は、太陽のすぐ近くを通る軌道を持つ「クロイツ群」と呼ばれる仲間の一つで、オーストラリアのアマチュア天文ファ ンが昨年12月2日に発見したばかり。実際、同16日、日本の太陽観測衛星「ひので」などが太陽に最接近するところを観測した。

そのまま消滅すると思われていたが、約1時間後に奇跡的に太陽の反対側から出てきたところを五つの衛星が観測した。NASAは「マジで度肝を抜かれた」との専門家のコメントを紹介している。

ラブジョイ彗星は今回、太陽表面まで約14万キロ(地球と月の距離の3分の1程度)以内まで接近したと考えられている。

コメントをどうぞ

はくちょう座のブラックホール

はくちょう座X-1と呼ばれる連星系の想像図。ブラックホールが近接する恒星から物質を引き寄せている。ブラックホールに落ち込む物質はブラックホールの周囲に円盤を形成し、この円盤が放射する強力なX線が今から50年以上前に初めて観測された。

この有名な連星系に属するブラックホールのより正確な想像図は、先ごろアメリカ国立科学財団(NSF)の超長基線アレイ(VLBA)を構成する複数の電波望遠鏡を使って収集したデータを基に描かれたもの。

このブラックホールは地球から6070光年の距離にあり、質量は太陽の約15倍、1秒間に800回以上回転していると考えられている。

Illustration courtesy DSS and M. Weiss, CXC/NASA

コメントをどうぞ

小惑星探査機「ドーン」によるベスタの概観

8月から正式に科学観測を開始した小惑星探査機「ドーン」による、小惑星ベスタの観測結果について紹介しよう。ベスタには太陽系屈指の高い山があり、南半球と北半球ではその地表面の年代が異なるようだ。

探査機「ドーン」は8月11日にベスタの科学観測を開始し、まずは20日間の「概観観測軌道」(survey orbit)での観測を行った。その後9月末からは、30日間にわたって高度680kmの「高高度マッピング軌道」(HAMO)での観測を行った。

「概観観測軌道」(survey orbit)とは約2,700km上空を3日間で1周しながらベスタの全体像をとらえたものだ。可視光線と赤外線で全球を観測したマッピング分光計のデー タと、フレーミングカメラによるモザイク撮影画像から、地表の地形・組成図を生成する。また、探査機の動きから重力を割り出し、重力場の測定も行ってい る。

それによると、ベスタの南半球には高さ22kmという太陽系内でも屈指の高い山があり、その周囲には地すべりでできたと考えられる急斜面が発見された(画像1枚目)。またクレーターの周囲には元素組成の多様性が見られた。


「ドーン」による地形データを用いて再現された、ベスタの南半球の山。その周囲からの高さはエベレストの3倍近い、22kmにもなる。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA/PSI)

さらにクレーターの数から年代を求める「クレーター年代学」による初期観測の結果、南半球は10~20億年前に形成されたと考えられ、北半球よりも少し若いことがわかった。


「ドーン」が7月24日に撮影したベスタ。高度5200kmのところから撮影したもの。下の明るい部分が南半球(夏)に相当し、上の暗い部分が北半球 (冬)に相当する。1ピクセル辺り500mの解像度。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/ UCLA/MPS/DLR/IDA)

12月5~9日にかけて行われるアメリカ地球物理学会では、さらに最新の結果が報告される予定だ。「ドーン」自体はHAMOでの観測の後、「低高度マッピング軌道」(LAMO)に移行して観測を行う。その後2012年中にベスタを離脱し、次の目的地である準惑星ケレスに向かうことになっている。

コメントをどうぞ